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金融のキホン

経営者保証ってなに?ごく簡単に説明します【金融のキホン】

「経営者保証」って言葉をご存じでしょうか。

すでにお金を借りている事業者の方にはおなじみの言葉ですが、

これから銀行等でお金を借りようとしている方には知っておくべき言葉なので解説します。

もしかしたら、事業資金を借りるという結果を重視して、保証人になることについて深く考えないまま、流されるままに保証人になってしまうこともあるかもしれません。

ですが、安易に、あるいは「お金を借りられるならば何でもいいや」と経営者保証にのると、思わぬ事態になるかもしれません。

これを読んで、少し考えてみましょう。

経営者保証とは

経営者保証とは、法人がお金を借りる際に、経営者が個人として保証人になることをいいます。

株式会社AAAという会社が銀行からお金を借りるときに、社長Bが保証人になるイメージです。

法律的に言うと、主債務者が株式会社AAA、連帯保証人が社長B、ということになります。

(民法には「保証」と「連帯保証」が定められていますが、金融実務では「連帯保証」です)

経営者保証をするとどうなるの

簡単に言えば、会社AAAがお金を返せなくなったとき、社長Bが会社に代わって返済をすることになります。

会社がダメになれば、代わりに社長が借金を背負います。

簡単に言いますが、実際にはものすっごいプレッシャーかかりますよね。

事業がうまくいかなかったら、社長は自身の財産をもって返済をしていきますが、現金が足りない場合には、社長個人の財産を換価してでも返済をすることが考えられます。

例えば、家・車・高級時計 etc

自分で換価しても構わないですが、最悪の場合、差押えが行われます。

お金を借りたのは「あくまで会社」

それなのに社長が代わりに借金を背負うの?

という疑問はごもっとも。

次に、なぜこのような制度があるのか考えてみましょう。

保証制度の必要性

ここもごく簡単に説明します。

まずは想像してみましょう。

あなたの友人が突然、「金を貸してくれ」と言ってきました。

あなたはこの頼みを聞くか考えます。

「貸した金は返ってくるのか。返済できるパワーがあるのか」

「信用できる人間なのか」

などと考えるはずです。きわめて素朴に。

仮に親友だったらどうでしょう。信用できる人間のようにも思えます。

しかし、大事なのは「返済力」です。

どれだけ信用を重ねてきた間柄でも、お金がないという限界局面では通用するとは限りません。

夜逃げされてしまうかも。本当に大丈夫?

親友でもない人間の頼みでは、より信用に欠けます。

そこで、次のように考えるはずです。

「いざとなったら、腕につけいている高級時計を売ってもらう」とか

「いざとなったら、あなたの両親から返してもらう」という風に。

この発想、冒頭に話した社長Bの状況に似ていませんか?特に「両親から返してもらう」のところ。

そうです。これが、「保証」という制度の必要性、「保証人」の必要性なのです。

保証という制度は、いわば「信用の補完」なのです。

(高級時計に関する考え方はここでは省略します)

経営者保証は断れるのか

さて、「株式会社AAAが返せなかったら、社長Bに代わりに返してもらいます」という制度の必要性はわかっていただけたと思います。

一方で、こうした貸し手の気持ちは、借り手にプレッシャーを与えます。

「私自身はお金持ってないし…。いざとなったら借金背負うの怖いな…」

「もし保証人にならないと事業ができないなら、起業するのやめようかな…」

「あそこの会社を買いたいけど、あの会社の借金の保証人にはなりたくないな…」

経営者保証は断れないのでしょうか。あるいは、既になっている方は、保証人をやめることはできるのでしょうか。

結論として、断れる・やめられるという可能性は十分にあります。

それは、金融業界や政府が打ち出した、次の2つの対応があるからです。

重要な2つの対応

・経営者保証ガイドライン

・経営者保証改革プログラム

※詳しい情報は本記事の一番下のリンクからどうぞ

この2つは非常に重要なので、心にとめて、金融機関職員に相談してみましょう。

相談するのって怖いかもしれませんが、相談を受けた金融機関は、

この相談に対して誠実に対応しなければならず、

誠実性を欠く場合は、金融庁から指摘をうける場合があります。

ですから、金融機関側も誠実に対応してくれるはずですし、そうでなかったら次のホットラインに相談しましょう。

ただし、あくまで断れる・やめられるという「可能性がある」にとどまりますから、100%ではありません。

絶対ではありませんので、くれぐれもお忘れなく。

ホットライン

金融庁「経営者保証ホットライン」

https://www.fsa.go.jp/receipt/k_hotline/k_hotline.html

とはいえ、上記2つの対応策により、金融機関側は、相談を受けてもなお、経営者保証を続けるなどの判断をした場合、その理由を説明することになっているので、どういう条件を満たせば断る・やめられるのか、説明してくれると思います。

まとめ

やや細かい話もしましたが、経営者保証という制度を知ることはとても重要です。

人生を左右するほどの重要なことですから、安易に保証を受け入れるのではなく、

一度金融機関とじっくりと話し合ってください。相談してください。

事業資金を借りるという結果を重視して、保証人になることについて深く考えないまま、流されるままに保証人になってしまうことの無いように。

あるいは、そうであっても、心の準備・納得のうえで保証をしてほしいと思います。

参考

○ 民法(保証債務):第446条~465条の10

○ 経営者保証ガイドライン(全銀協HP)

https://www.zenginkyo.or.jp/adr/sme/guideline/

○ 経営者保証改革プログラム(金融庁HP)

https://www.fsa.go.jp/news/r4/ginkou/20221223-3/20221223-3.html

○ 経営者保証ホットライン(金融庁HP)

https://www.fsa.go.jp/receipt/k_hotline/k_hotline.html

 

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